(16)「地元」。


地方で落語会をやろうとすると、よく求められるのが「地元のために」ということだと思います。

 

地元出身の落語家さんを応援するために落語会をやる。

商店街を元気にするために、お店で落語家を呼ぶ。

当初の目的がそういうことだったら、問題はないのですが。 

 

 

 ある落語家さんが好きで「この人の落語会を地元でやりたい!」という決断に至るまでの気持ちと行動の流れを、ちょっと想像して書いてみました。こんな感じじゃないかな、と思います。

 

地元の落語会は地方向けのネタしかやらなくて、ジジババしか集まらなくて、ダサい。嫌い。

→面白い落語を聴きに、遠方に聴きに行っていた。→とっても面白い。→これを地元で聴きたい!

  

商工会議所や同窓会など地元に何らかのつながりが最初からあればともかく(注1)、ただ住んでいるだけ・働いているだけ、となると、会場探しや集客の段階でものすごくハードル上がります。

会場を借りる時、宣伝をする時、いろいろとお願いをする時、ただ住んでいるだけ・働いているだけの時には関わってこなかった「地元の人たち」「地元の社会」と嫌でも向かい合うことになります。

 

実は「嫌い」な地元に、自分の「好き」を持ちこむのがどれだけ大変か。

だれそれさんが好きだから地元で聴きたい。

「好き」を優先させいのだったら、無理に地元にこだわって落語会を開く必要はないと思います。

ひなびた田舎にとんがった人呼んで説明に苦労するより、ちょっと動いて、わかってくれる人の数が多い都市でやったほうが良い場合も多いです。

また、あなたの「好き」を理解してくれる小スペースやカフェなどとつながることができたら、そこを会場にして落語会を開くことで、会場のある地の「地元」とつながる、という手だてもあります。

主催者の在住地でやらないと補助金がもらいにくい・公共の会場が借りにくい、などのマイナスもありますが、小さい落語会を始めるのだったらそこまで考える必要はないでしょう。

 

あなたが自分の「好き」のために動きやすい場所はどこでしょうか。

地元であることにこだわらず、観客を集めやすい場所を選んで、自由に落語会を企画してください。

 

落語会をやるために、無理に地元であることにこだわらなくてもいいと思います。

だって、プチ席亭なんだから。 

 

(注1)話はそれますが、男性が落語会を立ち上げる時というのは、自分が関わってきた過去や現在のコミュニティを最大限に利用して立ち上げる場合が多いです。女性も、もちろんそういうケースはありますが、そういうつながりを利用できない状況でも、あえて「好き」を重視して、地元の人脈・コネ無しで落語会を主催してしまえっ! というのは、圧倒的に女性が多いです。(私見です)